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ビリヤードが好きだった

僕がビリヤードをはじめてやったのは、
確か17歳の時。
アメリカに住んでいた頃。

17歳の夏。
当時、父が脱サラをしてバーをオープンして
僕も学校に行きながら夜は店を手伝っていました。

常連客の中で、特に僕と仲良くさせていただいた方の1人が
学生時代にビリヤードをたしなんでいて、
日ごろから「やってみたい」と言っていた僕を連れてってくれました。
名前をMさんと言いました。

初めて行ったビリヤード場は夕方から明け方までオープンしている所で、
そこはタバコと酒の匂いに包まれていて、
なんだか僕は少しオトナになった気分でうきうきしていました。
(バーで働いていながら今更だけど、
自分の家の店で働いてるのとはまた違う感覚だった。)


Mさんに教わりながら、見よう見まねで始めたのですが
あっという間にその魅力に取り付かれ、
ビリヤードにどんどんハマっていきました。

週末、深夜2時にバーの仕事が終わって
Mさんと一緒にビリヤード場へ行って
明け方まで勝負をして
終わった後はデニーズでコーヒーを飲みながら色んな話をして、
すっかり日が昇った朝7時とか8時に家に帰る生活をしてました。

学校が休みになれば、週に6日はビリヤード場に通いました。

でもまだ全然下手で。

もちろんMさんにはまるで歯が立たず、負けてばっかりでした。


でも、それで諦めたりはしませんでした。
始めたばかりの頃、Mさんに言われた言葉で
今でも忘れられないのは、


「本当に強い人に一回勝つ為に、色んな人と勝負して1000回負ける事を覚悟しろ。」


本当に強い人というのは、
誰よりも「負ける事」の味を知っている人。

だから強いんだ・・・、と。



何度も勝負を挑んでは負けて。
Mさんだけではなく、色んな人と勝負をしてみて、
少しずつ勝てるようになったけれど、
まだMさんには届かなくて。

Mさんが他の誰かとやっている時は、
彼のプレーをよく見て参考にさせてもらったり、
本を買ってみて勉強したり、
自分のプレーで苦手な所があったら直接聞いてみたり。

そして、また勝負を挑んでは負けて・・・。


そんな事を繰り返していく内に、

ようやく、一度Mさんに勝つ事ができました。


すごく嬉しかったです。
ホントに嬉しかったです。



通産成績では大きく負け越してはいますが
それからも何度か勝つ事ができました。


そしてある日、こう言ってくれました。


「からし(本名変換)とやる時は、楽しむ為じゃなくて、勝つ為にやらせてもらうよ。
だから、君には手加減はしないよ。」

と。


むちゃくちゃ嬉しかったです。





僕はビリヤードを通して、大切な事を学びました。

本当に大事なのは、負けない事ではなく、
倒れても、また起き上がる事なのだと。

Mさんに教わりました。




そのMさんは今はイギリスで働いていて、連絡は途絶えてしまいましたが、
またいつかきっと僕らはあの頃のように、
深夜まで僕の実家の店で飲んで、
ビリヤード場へ行って、
勝負をして、
デニーズでコーヒーを飲むのでしょう。



アメリカと比べて日本は高いから、
最近あまりビリヤードをしてないけど、


久々にまた、やりたいな、と思いました。

きっと腕はそうとう落ちてると思うけど。





そんな事を思った日でした。
by karasimutard | 2005-06-20 01:38 | ♪一言
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