モクレン

森の深く 誰も知らない 
光もほとんど入らない そのまた奥に
ひっそりと暮らす男がいた

彼はロボットを 一体 造り上げた
古い大木を 削り 命を与えた

「お前の名前は 今日からモクレンだ
木から生まれたから お前の名はモクレン」
「ハイ ゴシュジンサマ」

自分で作っておきながら
ゴシュジンサマと呼ばれるのを 彼は嫌った
なぜなら友達が欲しかったから

彼の魔法は 完璧 すぎるほど
モクレンは自分の意思で動けたが

「その呼び方はやめてくれと言ったろう
俺たちは友達なんだからな モクレン」
「 シカシ ゴシュジンサマ」

お互いは お互いを助け合い 笑い合い 時にはケンカもした
彼たちは 森の散歩中に 少しだけ 日のあたる場所を見つけた
そこは彼らの 秘密の場所に なった

ある日男は 花の種を
街から買ってきたと言って ロボットに見せた
ロボットは珍しげだ

さっそくフタリは 秘密の場所に 埋めた
そして毎日 水を 与え続けた


「ナントイウ ハナ ナノデスカ ゴシュジンサマ」
「それは咲いてからのお楽しみだ モクレン」
「ハイ ゴシュジンサマ」

「この花が 咲いたら もうゴシュジンサマ
とは呼ばせないからな いいかモクレン」
「シカシ ゴシュジンサマ」



雨の夜 いつもの様に ささいな事で 激しいケンカをした
そして男は 家を飛び出して 無情にも 雷に打たれてしまった
モクレンは それを知らなかった ので

自分は 捨てられた と 思った


間もなくして あの花が咲いたが
ゴシュジンサマをなくした ロボットには
名前を知る術はなかった

いつか帰って来てくれると信じて
ロボットは水を 与え続けてる


森の深く 誰も知らない
光が少しだけ入る 秘密の場所で
花を守るロボットがいる


その花の名前は

その花は、ね


木蓮

モクレンというんだよ

それは 彼らの 友情の 証・・・・・・
[PR]
by karasimutard | 2005-03-26 05:40 | ☆ペットボトル
<< プラネタリウム なんでもない日のさんぽ >>